雑誌「表現者」3月号の特集は「『大阪都』の反乱を許すな」の特集号で、その名の通り橋下維新の会の批判特集である。
大の大人が、地方の一市長のために雑誌の特集号で一斉に批判するというのはある意味異常である。
そんなに異常な事がまかり通るほど、橋下氏は恐ろしい男なのか。
いや、恐ろしいのは橋下氏自身よりも、それに煽動される愚かな国民なのか。
持て囃すマスメディアなのか。
いずれにしても、してやったりと橋下氏はひそかにほくそ笑んでいることだろう。
橋下氏一流の戦術にはまってしまったのではないか。
船中八策はまだ素案であるとは言うものの、大方の輪郭は示されている。
論者が様々な視点から論評を加えるのは決して無駄ではない。
本書には橋下氏氏個人の資質や個性だけでなく、それを生んだ時代的・社会的背景に言及する論者も多い。
独裁は民主主義から生み出される
大阪の橋下現象は、今日の日本の民主政治の帰結である。
大衆は「独裁」を求めている。
しかし、「独裁」が許されるのはプラトンの言う「哲学者」だけである(佐伯啓思)
佐伯氏が産経新聞で橋下政治の危うさを指摘していることは過去の記事でご紹介したが、「新潮45」でも連載コラム記事「反・幸福論」で「『橋下現象』のイヤな感じ」と題して書いている。
本誌でも・・・
「大衆化した社会において民主主義を無条件に推し進めると政治は行き詰まる。それを打開するために独裁が出現する」
こう断言したのは今から何千年も前のギリシャの哲学者プラトンだそうである。
若気の至りで青年時代にプラトンやソクラテスの書物を読んで哲学的な瞑想に耽った時代があったが、プラトンがそんな事を言っていたとは知らなんだ。
「政治的な停滞や大衆の不満は構造改革の帰結であり、捉え方によっては日本を越えたグローバルなものだ。官僚機構や行政機構の改革はそれなりに必要だとしても、そこに問題の中心があるのではない。とすれば、公務員、既得権益、官僚機構を「敵」に指定して、対象の不満を掬い上げるという独裁はいかにも危ない」
という意味の事を佐伯氏は言っている。
「大衆の圧倒的な歓呼をもって迎えられる独裁者こそは「哲学者」からはもっとも遠い『煽動家(デマゴーグ)』と見ておかなければなるまい」
と結語している。
いかにも「自由と民主主義をもうやめる」の著者らしい。
大阪維新と批判精神(中野剛志)
TPP反対論者の中野氏はTPP賛成論者の橋下氏をどのように評価しているのだろうか。
中野氏は完全に橋下氏をバカにしている。
彼は大阪維新にも橋下氏にも関心は無かった。
「橋下氏は、討論会やテレビで相手を罵倒したり、Teitterで人の悪口を垂れ流したりしているとのことで、普通の感覚なら、そんな下品さに付き合ってはいられない」
しかし本誌のテーマが「大阪維新」だったので小林秀雄の「ヒットラーと悪魔」を読み返して、「大阪維新」に高を括っていた自分の認識の甘さを思い知らされたと言う。
小林秀雄の著書を随所に引用しているが、それはヒットラーというよりも橋下氏の事を言っているのではないかと思わせて、唖然とする。
「橋下氏が掲げる『大阪都構想』を、その中身が空疎であるとか、意味が不明であるとかの批判は、的外れである。なぜなら、彼も『大阪都構想』の意味には興味が無いからだ。彼の興味は、ヒットラー同様、大衆を動員するプロパガンダの力にある」
と突き放している。
橋下氏は中野氏に公開討論を呼びかけていると言う。
期待しているブロガーも居るようだが、「橋下氏の下品さ」に耐えてTPPの是非だけに絞って議論してもらいたいものだ(つづく)。
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